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第18回京都メディア懇話会月例研究会報告

開催日:2017年4月27日(木)18:30~20:00

会場:同志社大学寒梅館6F大会議室

発題者:渡辺武達(本会会長)

コメンテーター:齊藤修(本会理事長)

司会:永井るり子(本会事務局次長)

 2017年度年次総会の後に行われた第18回京都メディア懇話会月例会では、渡辺武達氏(本会会長、同志社大学名誉教授)が「トランプ大統領の『FAKE(作為情報)』連発とマスメディアの対応責任」と題し、トランプ米大統領誕生以降の世界の現況およびメディアのあり方、報道責任について解説した。

 渡辺氏は、米国大統領選挙でトランプ大統領が支持された要因の一つとして、生活に精一杯で大所高所から「説教」しがちな新聞やテレビを信頼できない貧困層の増大を挙げた。米国だけでなく世界的に貧富の差が拡大する中で、マスメディアは社会でどのような役割を果たすことができるのであろうか。渡辺氏はマスメディアが重要な事実を伝えきれておらず、結果としてその社会的責任を果たせていないと強調した。一例として、氏は日本のマスメディアが安倍政権による情報操作(巧妙なメディア政治)に対しても本質を衝いた効果的な対応ができていないことを挙げた。

 加えて、渡辺氏は「トランプ流真実」への対処方法として、事実(出来事)と真実(社会的位置づけ)は異なるものであることを理解したうえで、一般的な意味での真実とトランプ大統領にとっての「真実」は全くの別物であるという点を把握する必要があると述べた。トランプ大統領にとっての「真実」は「『自分が儲けたビジネス』と『その時の経験知』」だけに由来するものであるという。同時に、渡辺氏は「すべての政府はウソをつく」という視点から、マスメディアは健全な民主制の妨げとなっている「社会病理」の医者になるべきだと強調した。最後に、渡辺氏は社会を構成する多数の人びとが社会的倫理規範を常識として考え、行動するようになるためにも、メディアの責任とジャーナリストを社会に送り出す大学の責任が問われていると述べた。

 発題を受けてコメンテーターの齋藤氏は、米国大統領選挙ではマスメディアが健全な読者を育ててこなかったことが明らかになったと指摘した。加えて、「怪物」としてのインターネットの誕生により、読者はマスメディアに出ていないような情報に無料でアクセスできるような情報環境が生まれた結果、日本でも読者とメディアの信頼関係が揺らいでいると述べた。今後、マスメディアは読者の信頼を取り戻すために事実や真実の前にいっそう謙虚になる姿勢が求められるという。最後に齋藤氏は、大学とメディア、市民が今後一体となって社会的利益の充実のために協力していかなければならないと述べた。

 渡辺氏と齋藤氏の報告を受けて会場のオーディエンスからもさまざまな質問が出された。ある参加者による「トランプ大統領の女性問題が選挙後に取り上げられなくなった理由は」との問いに対して、渡辺氏は「①トランプ大統領の支持者はセクハラ疑惑が大統領の資質と直接関係しているほど悪いことだとは思っているわけではない②ヒラリー・クリントン陣営にも「夫・ビルの性的不適切行動」があり、セクハラ問題を争点にしにくい事情があった」と述べた。また、「トランプ氏個人に好感の持てる面があるときには、それについてメディアは報じるべきではないのか」という学生の問いに対して、渡辺氏は「メディアは『(特定の人たちのためだけではなく社会全体にとって)政治家としてどうなのか』という視点から、大統領について論じる必要がある」と述べた。活発な議論を通して、メディアの政治報道のあり方における課題が明らかになった。

まとめ:阿部康人(京都メディア懇話会事務局長、同志社大学社会学部助教)

感想、その1                                 

 今回の渡辺先生による発題は、来春からテレビ業界で働く私にとって大変興味深く、考えさせられる内容であった。特に、私が関心を抱いたのは、①事実と真実 ②国民の課題 ③メディアの役割についてである。

発題者によれば、物事の事実は多くあるが、「真実」は「事実」の数より少なく、ときには当事者の都合のいいものでもあるらしい。たとえば、ドナルド・トランプは自分に都合の悪い情報は「FAKE!」だと主張し、彼にとっての「真実」をSNSで発信する。それを彼のコアな支持者は簡単に信用してしまう。その背景のひとつには、国民の多くに情報の真偽を判断する知識=正当な判断力が欠如していることがあげられる。会場では、メディアと教育現場が密に協力していくべきだという意見が出たが、まさにその通りだと思う。なぜなら、情報の取捨選択の方法や必要性を学ぶことが、情報を見定める上できわめて重要だからである。

 また、アメリカでのメディアに対する信頼の希薄化についても話題にされたが、これは日本でも指摘される重要な問題である。最近、新聞やテレビよりも、ネットの情報を好む人が多くなってきている。確かに、自分の知りたい情報がいつでもどこでも、とりあえずは得られるネットの手軽さは便利この上ない。しかしながら、偏った内容や、責任が問われない匿名の提供情報を鵜呑みにしてしまうことがもたらす潜在的危険性には計り知れないものがある。

 だからこそ、これからの私は、自分の眼と足と肌感覚で得た、国民が知るべき情報の発信を心がけ、「あなたの情報だから信用できる」と言われるような発信者になりたい。改めてそう決心させられた有意義な時間であった。

(同志社大学法学部政治学科 長岡里沙)

感想、その2.

渡辺さんとは同志社大学の同期生だが、彼は大学院生時代から日本卓球協会の国際交流委員として後藤鉀二会長の通訳兼秘書として世界を飛び回り、多くの国際会議を経験、「学者」離れした学者である。特に 「ピンポン外交」を通しての中国の国際社会復帰にあたり、ニクソン米大統領やキッシンジャー補佐官などの表のスターではなく、アメリカと中国の国交正常化交渉と日本の国内世論の喚起をスポーツ交流によって促したという自負がある。もちろん当時は、日本と中国本土(Main Land China)とは国交がなく、大陸中国に行くには「中国渡航だけに通用する特別旅券」を外務省からもらう必要があった。当時の佐藤栄作(現安倍晋三総理の祖父・岸信介の弟)政権は台湾をRepublic of China として唯一の中国として承認、人民中国をアメリカに追従し、敵視していた時代。冷戦時代に取得した筆者のパスポート(1971年3月25日発行)には「このPassportはNorth Korea, Mainland China, North Vietnam, East Germany 以外の全ての国に有効」と明記されている。

 Fake News とトランプ大統領がいうアメリカの既成メデイアにも日本の大手メディアにも、主として政府の公式情報に依拠したFake Newsの面があったと渡辺さんは考えている。実際にNew York Times東京支局長、マーテイン・ファクラーが指摘するように、今も日本の新聞には政府発表に依拠した報道が多い(『本当の事を伝えない日本の新聞』双葉新書、2012)。一方、渡辺さんは欧米を知るだけはなく、東側世界や中東・アラブ、インド洋セイシェル共和国のような小国からの視点をも持っており、News とは文字通り、物事を「North北、East東, West西, South 南」から見て報じる必要があるものだと教えてくれた発題であった。

(元貿易商社勤務 寺森義信)

感想、その3

最初に、トランプ米国大統領が選挙戦中に掲げた公約が本当に行われているのか?メディアはトランプ政治を社会的に正確に位置づけた報道をしているかという問題がトランプ氏の「FAKEメディア」批判に焦点を当てながら分析された。発題者は国際的にも活躍されており、メディア学科生である私にとって興味深いものであった。とりわけ、トランプ氏がメディアによる自分の希望する脈絡以外でのいかなる情報もメディアによる「FAKE」(作為的情報送出)攻撃だとして反論しているとの指摘が印象に残った。私自身、トランプ氏がある報道機関を名指しで批判している映像を見たことがあり、私にとってこの指摘は点と点が繋がり線となった感じで非常に納得した。

一方で、メディアと政治家、そして市民という三者の在り方について改めて考えさせられることになった。今のトランプ氏とメディアとの関係であれば、十分な知識やメディアリテラシーを有していない市民はどちらが「FAKE」なのか理解がむずかしい。この状況は情報化社会の危機であると私は感じる。

今後も、トランプ氏の「FAKE」そして、メディアの在り方について深く考察していきたいと強く思った。この気持ちを今後の自分自身の勉強の中でも忘れないでおきたい。

(同志社大学社会学部メディア学科 横田侑也)

感想、その4

 今回の研究会に参加するまではFAKE(デタラメ)発言で世間を騒がしているトランプ氏が選挙でなぜあれほど支持されたのか不思議で仕方なかった。しかし、支持者はメディアを信用しない、「FAKE」を「FAKE」だと考えない人たちだと知り、今回、改めてネット社会の根本的問題に気づかされ、メディアリテラシー教育の大切さを感じた。日本では現在、若者のテレビ、新聞離れが問題となっているが、私自身も最近それを感じることが多い。

私はメディア学科で学んでいることもあり、新聞に接し、読む機会は比較的多かった。しかし、他学部では就職活動を始めてから新聞を読み始める人がほとんどだ。私は若者の多くが新聞だけではなく、テレビを含む伝統的メディアから離れだした原因には2つあると思う。1つは「新聞」には大人が読むものという硬いイメージがあること。2つ目は「世の中の経済状況が悪い」と実感しにくいことが大きな観点から私たちに政治と社会の問題に関心を持たせないようにしているのはないかということ。

新聞を代表とするメディアのなんだか「よそよそしい」イメージを払拭するにはメディア企業は大学などと提携し、たとえば「新聞活用セミナー」などを開き、学生をもっと惹きつける努力をするなど、読者に確かな情報の大切さを自覚させる「きっかけを作る」ことなどから始めて欲しい。そうすれば、プロが集めた新聞提供情報の社会的重要性がプラス面から理解出来るようになると思う。

(同志社大学社会学部メディア学科 梶木唯菜)
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IAMCR(国際メディアコミュニケーション学会、International Association for Media and Communication Research)の声明の続き

皆さまへ

 トルコにおける言論・表現の自由の弾圧問題には見過ごせぬものがあり、IAMCR(国際メディアコミュニケーション学会、International Association for Media and Communication Research)では2016年7月に続き、このほど(2017年2月18日付)、再度の声明を出しました。その状況は4月16日の憲法改正の国民投票以後も続いており、ここにその声明の英語原文と日本語訳を掲出いたします。

IAMCR(国際メディアコミュニケーション学会国際理事 渡辺武達(日本でも憲法論議が高まっている2017年5月3日)

Freedom under attack in Turkey(February 28, 2017)

International Association for Media and Communication Research(IAMCR)

スクリーンショット png

Photo (cc) flickr user https://www.flickr.com/photos/jonycunha/

28/02/2017 - The International Association for Media and Communication Research (IAMCR)today published a statement condemning the continuing attacks on academic, journalistic andartistic freedoms in Turkey. The statement follows the firing of 330 academics in February 2017,bringing the total number of academics fired over the past 8 months to 7,316. The complete textof the statement follows.

Academic, journalistic and artistic freedom are under attack in Turkey. Purges over the pasteight months have seen a staggering 7,316 academics lose their jobs. This is sixty times greaterthan the number of academics dismissed in the aftermath of the military coup in 1980.  IAMCR -International Association for Media and Communication Research - stands in solidarity withTurkish colleagues.

IAMCR urges the authorities in Turkey to stop intimidating, persecuting and sacking academicsimmediately. The labelling and criminalizing of academics as threats to national security muststop. The climate of anti-intellectualism and fear under the State of Emergency and State ofException conditions must end. IAMCR calls for the reinstatement of sacked academics tosafeguard freedom of speech and

In the latest round of purges following a new government decree, 330 academics were sackedfrom 23 universities in early February 2017. More than half (184) had signed the ‘We shall not bea party of a crime’ petition. The Journalism and Theatre departments at Ankara University andthe Journalism Department at the University of Marmara, Istanbul are effectively shut down.

Police attacks in February on protesters outside Ankara University demonstrated thegovernment’s contempt for academic freedom.Since the failed coup attempt in July 2016, more than 128,000 public servants have been sacked,more than 90,000 have been detained, and over 45,000 have been arrested; over this period,more than 2,000 schools, dormitories and universities, as well as 149 media outlets, have beenshut. It is feared that crackdowns on academic, journalistic and artistic freedom will continue inthe run up to the constitutional referendum on 16 April 2017.

This statement was drafted by IAMCR&`s Clearinghouse on Public Statements.


Freedom under attack in Turkey(February 28, 2017)

International Association for Media and Communication Research(IAMCR)

声明:弾圧されるトルコにおける自由

2017年2月28日 IAMCR(国際メディアコミュニケーション学会

スクリーンショット png

Photo (cc) flickr user https://www.flickr.com/photos/jonycunha/

 国際メディアコミュニケーション学会(略称:IAMCR)は本日2017年2月28日、トルコにおける学問、ジャーナリズム、芸術活動の自由に対する攻撃が継続されていることへの抗議の声明を公表した。トルコではこの2月さらに330名の学者が解雇され、過去8か月間にトータル7,316人に達している。声明全文は以下のとおりである。

トルコにおける学問、ジャーナリズム、芸術活動の自由への攻撃について

  過去8ヶ月間超にわたる粛清によって7,316名もの学者がその職を追われた。この数は1980年の軍事クーデター時のそれの60倍にものぼる。IAMCRはトルコの仲間の皆さんと連帯することをここに表明する。

  IAMCRはトルコの関係当局が即座に学者に対する脅迫、迫害、身分剥奪行為を止めるよう強く要請する。学者たちが国家の安全を脅かすとのレッテルを貼り、犯罪者扱いすることを止めよ!反知性主義と国家緊急事態・除去法による恐怖を終わらせねばならない。IAMCRは言論の自由と学問の自由を守るために蹂躙されている学者たちの原状回復を要求する!

トルコ政府による新規の布告に伴って起きた最近の職場追放は2017年2月初旬、23大学の学者330人の解雇となって実行された。そのうちの半数以上の184名は「私たちは犯罪集団ではない」と題した請願書に署名していた。アンカラ大学のジャーナリズムと演劇両学部、イスタンブールのマルマラ大学ジャーナリズム学部はその結果、開講が不可能となった。アンカラ大学を取り巻いた抗議のデモ隊への警察官による攻撃は政府による学問の自由への侮蔑そのものである。

2016年7月のクーデター失敗以後、128,000人以上の公務員が解雇、90,000人以上が拘留、45,000人以上が逮捕され、この期間に2,000以上の学校、寄宿舎、大学、それに149のメディア機関が閉鎖に追い込まれた。こうした学問・ジャーナリズム・芸術表現の自由への弾圧はこれからも継続されると危惧される。

この声明の起草者はIAMCR(国際メディアコミュニケーション学会)対外広報委員会(Clearinghouse on Public Statements)によって起草されたものである。
プロフィール

twatanab

Author:twatanab
本人略歴

渡辺武達(わたなべ たけさと) Takesato Watanabe, Japan
愛知県生まれ。同志社大学教授(社会学部メディア学科)を経て、現在、同志社大学名誉教授、日本セイシェル協会理事長、京都メディア懇話会会長。国際メディア・コミュニケーション学会国際理事、国内、国外での講演・執筆活動やテレビ出演、セイシェル関連でのテレビ番組コーディネイター等をしている。

メディア関係の社会活動として、同志社大学メディア・コミュニケーション研究センター代表(2003-7)、関西テレビ番組審議会委員(1996-2010)。京都新聞報道審議会委員(2000-2015)、など。(2016年9月現在)

Takesato Watanabe: Professor Emeritus at Doshisha University, Japan, Media& Information AnalystPresident of Kyoto Council on Media Studies and PoliticalScience=CMSPS)Kyoto International Council of International Association for Media and Communication Research=IAMCR Chairman of Japan-Seychelles Friendship Association (As of September2016)

著訳書:『ジャパリッシュのすすめ(朝日新聞社、1983年)、『テレビー「やらせ」と「情報操作」』(三省堂、1995年)、『メディア・トリックの社会学』(世界思想社、1995年)、『メディアと情報は誰のものか』(潮出版社、2000年)、“A Public Betrayed”(『裏切られた大衆』(2004年、米国Regnery刊、A. Gambleと共著)、『メディアと権力』(論創社、2007年)、『メディア・アカウンタビリティと公表行為の自由』(論創社、2009年)、『自由で責任あるメディア』(論創社、2008年)、『メディアへの希望 積極的公正中立主義からの提言』(論創社、2012年)、『メディアリテラシーとデモクラシー 積極的公正中立主義の時代』(論創社、2014年)、『メディア学の現在』(共編、世界思想社、2015年)など。

1980年代からテレビ制作に関わり、ファミリークイズやドキュメンタリー番組を作る。現在はCCTV(中国中央テレビ)英語国際放送などに衛星生中継で出演。専門はメディア社会論、国際コミュニケーション論。

Statement: Takesato Watanabe (as of May 2016)

Takesato Watanabe is Professor Emeritus,Doshisha University, Japan and President of the Kyoto Council on Media Studies and Political Science. After studying Journalism and Mass Communication at Doshisha University, he taught Journalism Ethics and Mass Communication Theory at that university for 25 years. He also acted as an advisor for International Department of The Japan Society for Studies in Journalism and Mass Communication. In his media career, he has been a TV coordinator for over thirty years, a newspaper columnist and a commentator for China Central TV since 2007. He has published over 25 books, including co-authored and edited volumes; also in English, A Public Betrayed: An Inside Look at Japanese Media Atrocities and Their Warnings to the West, published in the United States.

Among his major translations from English into Japanese are A Free and Responsible Press by the Commission on Freedom of the Press (1947) and Denis McQuail’s Media Accountability and Freedom of Publication (2003).

He wishes to contribute to making IAMCR a stronger organization that will play a role in preparing an information environment for world peace through media studies and practices.

Author: Takesato Watanabe, Professor Emeritus at Doshisha University, Japan.

Media & Information Analyst

渡辺武達(メディア・情報学者)

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