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メディアと社会:ジャーナリズムの倫理と責任  その6                       2018年4月15日(日)記

ここにきて、日本のメディア界と政界が安倍晋三政権によるデタラメ行政への告発と関係者の右往左往、そしてそれらへのメディアによる「追いかけ」により大揺れで、小泉純一郎元総理さえ、この9月安倍三選に危険信号が灯った・・・とさえ発言しだした(18.4.14)。

筆者の立場は「事実はどうなのか」(事実命題)を知ったうえで「問題をどう捉え、社会改革に活かすべきか」(価値命題)という二項の整合性を私たちはどうつけていったらいいのかということ。現況に即していえば、①安倍首相とそれを支える麻生太郎副総理がやっている「とんでもないこと」の社会的意味とは?、②それはどこに原因があり、そこから出てくる結論は?、③次に誰が総理になりどのような内閣ができても安倍・麻生主導政権よりはましであるということの確認、である。

しかもこの結論は表面的で短期的な損得勘定ではなく、安倍と麻生が家系的にも政治的ワルとしても相似形で、戦前から戦後に引き継がれている日本政治と権力構造の実態からきているのだから、今私たちが浄化に動かなければそれなりに良識ある国民が協力して作り上げてきた日本の民主主義がどうなってしまうのか、骨のあるジャーナリズムが息絶えてしまうのでは・・・といわねばならぬほど事態が想像以上に深刻だということである。

 具体例を出して語ることにしよう。

話題その1:柳瀬総理補佐官よ、本当に「バカだ!お前は!」

いきなり乱暴な言い方になってしまったが国会の委員会で、財務省の太田充理財局長が、森友学園への国有地売却で値引きの根拠とされたごみの撤去について学園側に「口裏合わせ」を依頼したことを認め、「誤った対応であり、大変恥ずかしく、大変申し訳ない。深くおわびを申し上げます」と陳謝したとき、その答弁を引き出すための質問=明らかな「やらせ」質問をした自民党の西田昌司議員は太田局長に向かって「バカか!お前は!」と一括した。私が西田氏のこの質問を「やらせ」だというのは、一連の問題責任をすべて財務省役人に負わせ、安倍総理とその夫人昭恵氏を免罪しようとする意図がみえみえだったからである。

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農水省で見つかった加計学園の獣医学部新設計画に関連する文書=共同

もう一つこの項で触れておかねばならないのは加計(かけ)学園の獣医学部認可問題に係わる①安倍総理本人、②その刎頚の友、加計孝太郎(かけこうたろう)学校法人加計学園理事長・総長、③その関係を根源とする利害を代行して栄達を図ろうと必死の柳瀬唯夫経産相審議官(問題が起きた2015年当時の首相秘書官)の悪役3人とその構図を補強することで政界生き残りとそれによる経済利権を守ろうとしている④麻生太郎副総理である。


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愛媛県職員が作成した首相官邸での柳瀬氏らとの官邸での面会記録(同様のまとめが獣医学部直接管轄の農水省にも陳情の補完資料として提出された)によれば、加計学園による愛媛県今治市での獣医学部新設を巡り、県や市の職員、加計学園事務局長らがそろって首相官邸を訪ね(2015年4月2日)、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)らと面会した。加えて、当該学部の新設は「首相案件」であり、「地元の希望として死ぬ気でがんばってほしい」などと柳瀬氏から逆に各方面(とくに文部科学省)への陳情を強化するよう激励され、直接の管轄官庁である農水省への陳情にも同種の「非公式メモ」を提出した。今回、農水省にもそのメモが残っていたことが判明してんやわんやとなったという顛末である(2018年4月12日)。

しかも、県職員が作成したその記録文書には(加計学園の獣医学部新設問題は)「首相案件」だとの柳瀬氏からの発言があったとも記されている。柳瀬氏から「首相案件」との発言があったことについては、「どういう意図でその言葉を使ったかは推し量りかねるが、(獣医学部新設に安倍総理が)前向きだと受け止めた」と知事は会見で語っている。

☆地方自治体職員の東京出張とは:

上記のやり取りについて、柳瀬氏は「記憶している限り、この件で地元の方たちにおあいしたことはない」と公式、非公式に何回も答えている。地方自治体職員が首相官邸(このこと自体が異例である)や中央の関係省庁を訪ねるのは「公務出張」であり、出張費が出る。だから、そうした出張には「報告義務」があり、通常そうした文書は「復命書」といい、そこには出張目的と面会相手と面会場所が最低でも経過説明とともに記される。こんどのような特別の意味のある出張の場合にはこの復命書のほかに、出張目的とその経過報告のより詳しい「報告書」(愛媛県知事のいう‘備忘録’)には「面会目的と日時、訪問先や面会相手等」が記録される。しかもその報告内容が県庁内と農水省内で発見されたものとでは大筋で一致している(細かい部分が違うのは時日的に後である農水省への提出版では推敲されたからで、「改ざん」とはちがう!)という「存在否定のできない文書」なのである。だから、柳瀬氏が国会で繰り返し答弁している「記憶の限りでは、愛媛県庁と今治市市職員に会っていない」とするコメントは100%のウソである。

加えて、それほど彼の記憶力が衰えておれば、そんな柳瀬氏は能力の低下した「バカか!!」だということになる。だがこの期に及んでも安部首相は「私は自分の秘書=柳瀬唯夫経産相審議官を信じる」といい、近づく日米首脳会談にも同行させるという。これでは安部首相対しても「バカか!お前は!」というしかなくなってくる。

話題その2:安倍晋三総理と麻生太郎副総理のケミストリー
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「ケミストリー」が相似形の安倍総理と麻生副総理は「相思相愛」で・・・「困ったときの悪だくみ」?
☆ケミストリー(chemistry=化学)とは「人間の性向と思考回路・行動パターン」のこと

この二人のケミストリーの相似性は①縦の歴史性②横の同時代性の双方における利権構造の共有に特徴があり、その二人が日本の政治的頂点に君臨していることが現代日本の不幸なのである。
深刻なのは、両氏ともに市民/庶民が安心して暮らせる方向を目指した政治という大目的などこれっぽちも持ち合わせないばかりか、②両氏ともにその財を築く基になったものがその家族による朝鮮半島、中国への侵略、そして戦後にはそれとは真逆の、しかも工作資金を与えられての対米協調への転換による裏取引によるものだからである。とりわけそのことは、安倍氏の母方の祖父である岸信介が①「旧満州国」における軍の資材調達、②商工大臣としての日米開戦のキーパーソン、③アメリカからの提供資金によって戦後日本の政党政治と安保体制を築き、「政治・経済合同運営」をしてきた・・・ことなど、恥ずべき過去をメディア操作によって巧妙に隠し、今なおそのやり方で政治をやっているからである。
ついでに言っておけば、麻生家も朝鮮半島から「結果として来日しなければならなくなった」朝鮮人労働者を使って九州で戦後の財をなしている。


日本新聞協会と現在のメディア状況

日本には主な新聞社、通信社、NHKを含む放送局=メディア企業が加盟する業界団体に「日本新聞協会」があり、この協会が毎年、優秀な記事を書いた社、業界の発展に貢献した社などを表彰している。
 ☆新聞協会会員:新聞 104、 通信社 4、 放送局 22 計130社(2018年4月1日現在)
  日本新聞協会について →www.pressnet.or.jp/about/

この日本新聞協会について、協会自身はホームページでこう自己紹介している
「日本新聞協会は、全国の新聞社・通信社・放送局が倫理の向上を目指す自主的な組織として、戦後間もない1946年7月23日に創立されました・・・。」
しかし、その前年の8月15日まで軍部の宣伝機関と化していた新聞社が自発的に組織を改革するはずはないから、実際には連合軍司令部による命令=「ほぼ強制」により結成されたものである。
☆詳しくは以下を参照:「メディア倫理の社会的パラダイム~米・英・日の原初的検討から~」2004年3月20日刊、pp.1-69
『同志社メディア・コミュニケーション研究』(創刊号、2004年3月発行)

 内部関係者によれば、今年度の日本新聞協会編集部門賞は「森友・加計学園問題」等の一連の報道でほぼ独走した朝日新聞社が受賞すると思われたが、その審査で「読売新聞社と産経新聞社が猛烈に反対した」ことで、他社の受賞となったという。もちろん、その受賞社の応募作品も立派である。だが、新聞協会の倫理綱領(2000(平成12)年6月21日制定)にはこうあることを知るとき、いかにも奇妙、珍妙、不可思議な授賞決定であった。

『21世紀を迎え、日本新聞協会の加盟社はあらためて新聞の使命を認識し、豊かで平和な未来のために力を尽くすことを誓い、新しい倫理綱領を定める。国民の「知る権利」は民主主義社会をささえる普遍の原理である。この権利は、言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力から独立したメディアが存在して初めて保障される。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい・・・以下略』

その「奇妙、珍妙、不可思議な決定」理由は次の写真が明瞭に示しており、それ以上の説明は必要ないだろう。

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プロ野球開幕巨人-阪神戦を観戦する安倍晋三首相(左)と渡辺恒雄・読売新聞グループ本社主筆=東京ドーム、毎日新聞2018年3月30日、佐々木順一撮影

なぜ、盛り上がらない日本のセクハラ撲滅運動?

中央官庁の次官を含めて、セクハラ事件が頻発している。男女がおれば、そして職場を含むどのような場所であれ、必要性があれば、なんらかの連絡や接触が「男女をとわず、複数間で」あるのは当然だ。しかし職場の仕事での必要事項を超えて、どちらか一方の性が違う性別の人に「必要限度を超えた接触を求めたり、男女間の相互尊重の精神なく有利な立場を利用した圧力的接触を強いること」は「セクハラ」だ。もちろん、セクハラは女上司から部下の男性に対してもないわけではない。

 このセクハラに関する直近の例では、「麻生太郎財務相、セクハラ疑惑の調査・処分はせず 福田淳一財務次官へ」などと『週刊新潮』記事を基にテレビや新聞が報じている(2018.4.12日付)。これは財務次官が女性記者にセクハラ発言を繰り返し、その音声録音がネット上でも公開されているが、まさに下劣な内容で・・・典型的セクハラである。

 いくら人間関係の構築がむずかしいことだといっても現役の財務次官=財務省のナンバーツーがそれでは困るし、その直接の上司である麻生太郎財務大臣=副総理が『週刊新潮』によるこの報道について、「本人には反省もある。緊張感を持って対応するよう述べたことで十分だ、本人が軽率であったと反省しており処分することはない・・・」といったとの新聞とテレビでの報道があるが、第二弾としてそのセクハラ発言が音声公開されると「事実であれば今の時代であればセクハラだろう、だが、緊張感を持って対応するよう述べたことで十分だ」と麻生氏が再度語った。
刑法上は確定していなくとも、セクハラは間違いなく社会的犯罪であり、その犯罪に対し、「緊張感を持って対応するよう述べたことで十分だ」といってすまそうとする麻生氏に対しても「バカか!お前は!」というしかなくなってくる。

 ☆以下は参考までに、最近書いた原稿である。詳しくは『メディア用語基本事典』改訂新版に掲載予定。

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☆ここにあるsurvivorは「被害から生き残った者」という意味である。

ミーツー #MeToo

英語でMee too.とか、You too.いった場合、「私も同じ・・・」「あなたもだよ・・・」という意味だが、その前に「#」(シャープ、ハッシュタッグ記号)をつけた表現は「私もセクハラの被害者!」という告発としてハリウッドの女優たちによって使われ始め、TIME誌がその運動を起こしたテイラー・スウィフトなどを「Silence Breakers=沈黙を破った女性達」)として「今年の顔」として取り上げた(2017年)。それが契機となり、欧米を中心に芸能界だけではなく、クラッシック音楽界など練習、学修時の密接な師弟関係から支配・被支配の構造に陥りやすい分野でも、欧米を中心に大きなセクハラ撲滅運動になりつつある。日本でも同種業界だけではなく一般企業や官庁・役所内でも類似状況にあるとの指摘があるが欧米ほどの運動の盛り上がりはない。(渡辺武達)

(2018年4月20日記)


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プロフィール

twatanab

Author:twatanab
本人略歴

渡辺武達(わたなべ たけさと) Takesato Watanabe, Japan
愛知県生まれ。同志社大学教授(社会学部メディア学科)を経て、現在、同志社大学名誉教授、日本セイシェル協会理事長、京都メディア懇話会会長。国際メディア・コミュニケーション学会国際理事、国内、国外での講演・執筆活動やテレビ出演、セイシェル関連でのテレビ番組コーディネイター等をしている。

メディア関係の社会活動として、同志社大学メディア・コミュニケーション研究センター代表(2003-7)、関西テレビ番組審議会委員(1996-2010)。京都新聞報道審議会委員(2000-2015)、など。(2016年9月現在)

Takesato Watanabe: Professor Emeritus at Doshisha University, Japan, Media& Information AnalystPresident of Kyoto Council on Media Studies and PoliticalScience=CMSPS)Kyoto International Council of International Association for Media and Communication Research=IAMCR Chairman of Japan-Seychelles Friendship Association (As of September2016)

著訳書:『ジャパリッシュのすすめ(朝日新聞社、1983年)、『テレビー「やらせ」と「情報操作」』(三省堂、1995年)、『メディア・トリックの社会学』(世界思想社、1995年)、『メディアと情報は誰のものか』(潮出版社、2000年)、“A Public Betrayed”(『裏切られた大衆』(2004年、米国Regnery刊、A. Gambleと共著)、『メディアと権力』(論創社、2007年)、『メディア・アカウンタビリティと公表行為の自由』(論創社、2009年)、『自由で責任あるメディア』(論創社、2008年)、『メディアへの希望 積極的公正中立主義からの提言』(論創社、2012年)、『メディアリテラシーとデモクラシー 積極的公正中立主義の時代』(論創社、2014年)、『メディア学の現在』(共編、世界思想社、2015年)など。

1980年代からテレビ制作に関わり、ファミリークイズやドキュメンタリー番組を作る。現在はCCTV(中国中央テレビ)英語国際放送などに衛星生中継で出演。専門はメディア社会論、国際コミュニケーション論。

Statement: Takesato Watanabe (as of May 2016)

Takesato Watanabe is Professor Emeritus,Doshisha University, Japan and President of the Kyoto Council on Media Studies and Political Science. After studying Journalism and Mass Communication at Doshisha University, he taught Journalism Ethics and Mass Communication Theory at that university for 25 years. He also acted as an advisor for International Department of The Japan Society for Studies in Journalism and Mass Communication. In his media career, he has been a TV coordinator for over thirty years, a newspaper columnist and a commentator for China Central TV since 2007. He has published over 25 books, including co-authored and edited volumes; also in English, A Public Betrayed: An Inside Look at Japanese Media Atrocities and Their Warnings to the West, published in the United States.

Among his major translations from English into Japanese are A Free and Responsible Press by the Commission on Freedom of the Press (1947) and Denis McQuail’s Media Accountability and Freedom of Publication (2003).

He wishes to contribute to making IAMCR a stronger organization that will play a role in preparing an information environment for world peace through media studies and practices.

Author: Takesato Watanabe, Professor Emeritus at Doshisha University, Japan.

Media & Information Analyst

渡辺武達(メディア・情報学者)

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